ビジネス上の要求が変化しやすいときは、タスクの優先順位を2週間変えないようにする
プロダクト開発はビジネスや経営と切り離せない関係にある。顧客や市場の声に常に耳を傾けていると、タスクの優先順を日々変更したくなってくる。ビジネスが走り出しのスタートアップや新規事業では、市場の理解が日々増してくるので当然の心理だと言える。
一方で、作業の優先順が日夜変化してしまうと、開発チームは混乱してしまう。そこまで臨機応変に作業をスイッチできないからだ。開発には思っている以上に時間がかかる。CEOや意思決定者が決定するタスクの優先順位が絶えず変更されると、開発チームでは開発が進まないという問題が起きる。この問題が起こってしまうと、プロジェクトの進行自体も遅くなってしまう。
開発チームの都合だけを優先せず、顧客の要望も無視しないようにするにはどうしたら良いだろうか。重要なのは顧客担当にとっての優先度と開発チームの作業のしやすさのバランスを取ることだ。
解決策
プロダクトバックログの優先順位はプロダクトオーナーが決定し、すくなくとも2週間はこの優先順位を変更しないようにする。プロダクトオーナーとは、そのプロダクト開発に責任があるCEOや担当者のことだ。2週間という数字は、開発チームが成果を出すには最小限の単位になる。1週間だと開発チームにとっては短すぎ、3週間だと顧客や市場の要求を反映するには遅すぎる。
解決策の実施手順
- プロダクトバックログを管理する場所を作る
- プロダクトバックログの優先順位をプロダクトオーナーが決定する
- プロダクトオーナーと開発チームで優先順位を合意する
- プロダクトバックログの上から順に仕事を進める
- プロダクトバックログを見直す(2週間後)
ステップ1: プロダクトバックログを管理する場所を作る
まだプロダクトバックログを管理していなければ、プロダクトバックログを管理する場所を作る。オンラインでリアルタイムに共有できるツールをお勧めする。私からのお勧めはTrelloだ。
ステップ2: プロダクトバックログの優先順位をプロダクトオーナーが決定する
次にプロダクトバックログにあるタスクの優先順位をプロダクトオーナーが決定する。これはプロダクトオーナーひとりで決めてもいい。ビジネスの観点からどの順で作っていったら良いかを考える。
この際に開発チームに意見を聞くことはできる。たとえば、それを実現するのに要する時間などが優先順位決定において重要ならば開発チームと共同で決定してもよい。
ステップ3: プロダクトオーナーと開発チームで優先順位を合意する
プロダクトオーナーがプロダクトバックログの優先順位を決定したら、開発チームとその優先順位で問題なく仕事が進められるかを確認し合意する。ここでは、プロダクトオーナーは開発チームの聞き手に回る。全体を見てもらい「この順で実装していって問題はありませんか?」と聞く。問題なければ次のステップへ。
質問すると「機能Aを実装する前に、機能Bをしておく必要があります」「AよりBを先にしたほうがやりやすい」「AはXの方法でやるよりも、Yの方法でやったほうが楽です」という声が出てくる。「楽です」は早く完了するという意味。こうした声を踏まえてプロダクトオーナーは優先順位を調整しても良い。
最終的に全員が合意できるようにする。
ステップ4: プロダクトバックログの上から順に仕事を進める
プロダクトバックログの優先順位に合意できたら、開発チームは必ずその優先順位を守り実行していく。プロダクトオーナーは次のステップまでの間は、プロダクトバックログの優先順位を変更しないようにする。もしどうしても優先順位を変更しなければならないときはプロダクトオーナーと開発チームで協議する。
ステップ5: プロダクトバックログを見直す(2週間後)
2週間もすればビジネスに変化があるはずだ。プロダクトバックログもビジネスの意思決定に左右されることになる。2週間に一度はプロダクトバックログの内容と優先順位を見直す。ここではドラスティックに変更しても構わない。ステップ2からもう一度行う。